夕凪の街桜の国
こうの 史代
こうの史代著『夕凪の街 桜の国』を読んだ。
泣いた。
悲しいとか、苦しいとか、悔しいとか、そんなこと以上の強い何かがあった。
言葉にするには難しい感情。
日本には”ヒロシマ”が在るのだと思った。
ずっと”ヒロシマ”は残って行くのだと思った。
この漫画には残酷な描写はほとんどない。
ただ広島が”ヒロシマ”となった日から、一つの家族の日常が、
大袈裟な表現なしに綴られてゆく。
そこには生きている人の姿があった。
”ヒロシマ”という十字架を背負わされた人の、目に見えない傷と優しさがあった。
今年もまた夏がやってくる。