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ヒストリー・オブ・バイオレンス

ヒストリー・オブ・バイオレンス
ヒストリー・オブ・バイオレンス

人によって好き嫌いが極端に分かれる(僕は大好きですが。)
デイヴィッド・クローネンバーグ監督の最新作、
『ヒストリー・オブ・バイオレンス』を見ました。
あらすじは…
『アメリカ、インディアナ州ミルブルックの小さな田舎町で、ダイナーを経営するトム・ストール(ヴィゴ・モーテンセン)と弁護士の妻エディ(マリア・ベロ)は、2人の子供たちと一緒に幸せで静かな生活を送っていた。だが、ある夜、トムのダイナーが二人組の強盗に襲われたことにより、静かな生活は霧散してしまう。強盗の一瞬の隙をついて銃を奪い取り、起死回生の正当防衛で、強盗を退治したトムは、一躍町のヒーローとなったのだが、数日後、そのニュースの影響でトムのダイナーに、威圧的な男たちが現れる。その一人、目がえぐれたフォガティ(エド・ハリス)は、昔の知人であるかのように、トムのことをジョーイと呼び親しげに話しかける。フォガティの訪れにより、トムの秘密の過去がぼんやりとその姿を現し初め、トムや家族に暗い影をおとしてゆく…。』ってな感じ。

最小限に抑えられた台詞、おさえた演出、冷めた暴力描写、全編を貫く静謐な緊張感が、かなりグッときました。西部劇のようなストーリー展開ながら、勧善懲悪ものの爽快な撃ち合い物語にしないのが、実にクローネンバーグ監督らしいです。低体温気味なアクション、カタルシスのない結末は、暴力の怖さと言うか、心地悪さをじりじりと心に刻み付けてきます。ところどころ、クローネンバーグ流のグロい演出はあるものの、今作品では、かなりおさえられていたように思いました。が、そのことにより、そのグロさがよけいに際立っていたような気も。 
トム(ヴィゴ・モーテンセン)の過去を暗喩しているかのような、オープニングシーン(二人の男が車でモーテルを離れるシーン。)のカメラワーク、台詞、演出は最高にクール!!の一言。DVDがでれば何度も見たいシーンの一つです。
『ロード・オブ・ザ・リング』のアラゴルン役でブレイクしたヴィゴ・モーテンセンの演技は、トムの二面性を的確に演じ分けていて、まじ怖かったっす。(しかし、クローネンバーグ監督、ジェームズ・ウッズしかり、クリストファー・ウォーケンしかり、ピーター・ウェラーしかり、トカゲ顔の俳優を起用するのがほんと好きですな。本人も、ハ虫類系の顔だけに親近感がわくのでしょうか…。)
トムの妻役のマリア・ペロも体をはったいい演技!(しかし、あのコスプレ姿はいかがなものかと…。新しいコントかと思いました。)
しかし、なんと言ってもフォガティ役のエド・ハリスの演技が最高でしょう!彼こそ、ちょいワル親父の最高峰といっても過言ではないハズ!『ポロック/二人だけのアトリエ』でのポロック役の演技は、切なくてシビレましたが、今回は、彼の周りにそこはかとなく漂う恐怖オーラにシビレました。威圧感バッチリの重厚演技。ウィリアム・ハートの演技も良かったですが、エドの滲み出る怖さにはかないません。

『ヒストリー・オブ・バイオレンス』の原作はこの漫画↓

ヒストリー・オブ・バイオレンス
ヒストリー・オブ・バイオレンス

原作漫画では、主人公トムの過去がかなりのページを割いて語られるのですが、映画ではトムの過去は、微妙に匂わす程度でほとんど語られません。これはジョシュ・オルソンの脚本によるものか、クローネンバーグ監督の演出によるものか、詳しい事はわかりませんが、過去を語らない事により、主人公であるトムが原作漫画よりもミステリアスな存在として浮かび上がっていたように思います。個人的には原作漫画よりも、映画版のほうが断然好み。映画はひたすら我が道をゆく変態クローネンバーグ監督テイストに溢れる逸品となっていました。
(ちなみにニューライン・シネマが映画化権をもつ浦沢直樹氏のコミック『モンスター』もジョシュ・オルソンが執筆中!どのような映画になるのか非常に楽しみです!)

☆ヒストリー・オブ・バイオレンス公式サイト↓
http://www.hov.jp/

☆アーティスティックな男、ヴィゴ・モーテンセンは絵を描いたり写真を撮ったりもしています。そんな彼の写真家としての写真集がコレ↓
Coincidence of Memory
Coincidence of Memory
Viggo Mortensen

☆ヒストリー・オブ・バイオレンスのサントラは『羊たちの沈黙』の音楽でおなじみ、ハワード・ショアが担当↓

ヒストリー・オブ・バイオレンス
ヒストリー・オブ・バイオレンス
 
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