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石田徹也遺作集


石田徹也遺作集
石田 徹也

石田徹也遺作集。
彼は2005年5月23日、31歳の若さで亡くなった。
僕は今年31歳。
つまり、今の僕の年齢で亡くなられたことになる。
僕と同年齢の人の死。同年齢の芸術家の死。
それだからこそ、彼の死を知ったとき僕は強い衝撃を受けた。

彼の絵をじっと眺めていると、世代が近いということもあるのか、
持っている感覚に近いものがあるのか、
(彼の方がずっと繊細な人だと感じるけれども。)
彼に対して妙に親近感を感じてしまう。
(本人にお会いした事はなかったのですが…)
 
この画集の帯には…
「何かずーっと描いていて、描くのが僕だったと思う。描かないと僕じゃないような…。」
と石田徹也氏自身の言葉が綴られている。
生きる事に不器用で、ただただ絵を描き続けた男。絵を描き続けるというオブセッション(脅迫観念)にのみ、彼は生の充足を得ていたのではないだろうか? 
最近のアーティストには珍しく昔堅気な画家気質を持った、実に芸術家然とした絵描きだと思う。
彼のような、世間の目や社会に踊らされず一つの事に集中しつづける人に、僕はたまらなく魅力を感じる。

彼自身のパーソナルな感情と現代社会の閉塞感がリンクした絵には、愚直すぎるほどの彼の繊細さが滲み出ていて、哀しすぎるほどに痛々しい。その痛々しく繊細で神経質な筆遣いは、心に何かズシンとした重いものを残す。彼の絵には、世界に対する彼自身の孤独と、誰もが潜在意識下に持つ現代社会への不安、不信感が、いっしょくたに混ざり合い蠢き存在しているように思える。彼の絵は意識的か、無意識的なものかは分からないけれど、社会の欺瞞を静かに暴いているような気がしてならない。それだからこそ、強く心に訴えかけてくるものがあるのだと思う。
 
生前、彼は幾つかの賞を取っているが、それにしても、もっと評価されてもよかったのではないかと個人的には思う。
僕は、この石田徹也遺作集を眺めるたび心の奥の方がちくちくと疼く。この先、新しい作品が決して、生み出される事がないのだと思うと残念でならない…。

☆石田徹也遺作集に掲載されている、
哀しいユーモアに彩られた絵の数々。↓



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