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女たちは二度遊ぶ

女たちは二度遊ぶ
女たちは二度遊ぶ
吉田 修一

吉田 修一著『女たちは二度遊ぶ』読了。
男の視点で語られる11人の女の物語。
最近の吉田 修一作品の中では、一番好みの短編集でした。
収録作品の中で好きなのは『泣かない女』と『最初の妻』。
『泣かない女』は普通の人間の中にある、残酷さ狡さを巧みに、さりげなく表現していて、読後、徐々に恐ろしくなってきます。 
『最初の妻』は、主人公の男性が13才の頃の出来事を回想する、どことなくノスタルジックな話。知らぬ間に人を傷つけてしまった主人公の痛みが、心に痛切に響きます。国語の教科書に載ってもおかしくないような良く出来た作品だと思います。
そして他のどの作品も、相変わらず日常の他愛もない会話、シーンを描くのが吉田 修一氏はほんとうまいっ!

☆『女たちは二度遊ぶ』関連サイト↓
http://www.kadokawa.co.jp/sp/200603-08/

会話シーンの巧みさと言えば、ちょっと前に読んだ伊坂 幸太郎氏の『陽気なギャングが地球を回す』もなかなかおもしろかったです。
日本の小説版『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ 』の趣き!で爽快な読み応えが実にGood!!この『陽気なギャングが地球を回す』は映画化もされていまして、今年の5月13日から全国ロードショーが決定しています。映画館で予告を見ましたが、クセのある映像でなかなかに期待できそうな感じでした。原作をどのように脚本化しているのかちょっと楽しみです!
ちなみに主演は大沢たかお、鈴木京香、佐藤浩市、松田翔太、大倉孝二の面々であります。

☆映画『陽気なギャングが地球を回す』のサイト↓
http://www.yo-gang.com/

陽気なギャングが地球を回す
陽気なギャングが地球を回す
伊坂 幸太郎

☆『スナッチ』でおなじみガイ・リッチーの出世作。
クライム・ムービーの傑作です。脚本がとにかく秀逸!!↓
ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ
ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ

 
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わがタイプライターの物語 ポール・オースター


わがタイプライターの物語
ポール・オースター, 柴田 元幸

ポール・オースターの『わがタイプライターの物語』を読了。
コンピューターは使わず、未だに旧式のオリンピア・タイプライターで小説を清書しているポール・オースターの、そのオリンピア・タイプライターについてのエッセイのような物語。画家であるサム・メッサーの絵が幾つも載っていて、二人のコラボレーション画文集の趣き。サム・メッサーはポール・オースターのタイプライターの形に、強く惹かれたらしく、この本に載っているのは、ほとんどオリンピア・タイプライターの絵。それも油絵の具をチューブから直接塗りたくったような、もこもこと盛り上がったマチエールのものばかりで、まるでタイプライターが生きていて、蠢いているかのような迫力。
なんとも不思議で力強い絵で非常に実物が見てみたくなった。
(そういえば、デイヴィッド・クローネンバーグの映画『裸のランチ』でもタイプライターが蠅のような虫へと変化していくシーンがあったなあ…となんとなく思い出す。文字を打ち込む時のカシャッ、カシャッと鳴る小気味のいい音が虫の鳴き声、作家の紡ぐ物語を次から次へと紙に打ち付け、吐き出す上部の部分は何処か無機的というよりも有機的な生き物の口の形に見えなくもない。)
また、これらのタイプライターの絵のタイトルに『ムーン・パレス』『最後の物』などのタイトル名もあったりして、ポール・オースターファンである僕は、なんともうれしくなってしまった。ただ内容は30分もあれば読めてしまう、タイプライターに関する軽めのエッセイなので、ポール・オースターファン以外の人にはちょっと物足りない本かもしれない。やはりポール・オースターのおもしろさは長編ものにあると思う。
はやく、未翻訳である長編『Timbuktu』の柴田元幸先生訳が読みたいなあ!

☆サム・メッサーのタイプライターの絵はこんな感じです。↓
http://www.nielsengallery.com/db/Messer/e1202.html




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ひなた 

ひなた
ひなた
吉田 修一

吉田 修一の最新作『ひなた』読了。
僕たちの営む実際の日常のように物語は最後まで何も解決しない。
最後に結論が示される訳でもなく、小説が終わっても、物語は登場人物達が死ぬまで続いていくんだろうなあ。と思わせる読後感。相変わらずの吉田修一パターンで、スラっと読める割になんか心にひっかかってくる。個人的にはラストのありふれた文章が好き。
鈴木成一デザイン室のブックデザインも小説とぴったりマッチしていて、うまい。

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ララピポ

ララピポ
ララピポ
奥田 英朗

奥田英朗著『ララピポ』読了。下品なダメ人間祭りっ!でした。
先へ先へと文字を読ませ、物語にグイグイと引き込む筆力はさすが直木賞作家です。言葉のリズムがよく、大変読みやすい下品なエンターテイメントでありました。おもしろいです。下品な描写に顔をしかめる方もおられるかと思いますが、それも人間に深みを持たせる一要素ではないかと…。徐々に込み上げてくる人間のおかしみ(悲しみ?)は滑稽でありながら、なんとなく考えさせられるものがあります。軽く読ませながらも、現代社会への痛烈な皮肉になりえてる作品ではないかと思いました。個人的には三話目のゴミ屋敷主婦がかなりキてました。こんなぷっつん切れた人、本当にいそうでコワイっす…。
一話一話完結の短篇形式を取りながらも、登場人物がそれぞれの話にリンクしていて最後に繋がる感じは、伊坂幸太郎氏の『死神の精度』と同じような形式だなぁと思いました。どちらも話の組立方が実にうまいっ!と心底感心します。
上品(?)な笑いで最後にホロリとさせる『死神の精度』、お下劣で救いようのない笑いで、ひたすら突っ走る『ららぴぽ』と、わたくし非常に楽しませていただきました。

死神の精度
死神の精度
伊坂 幸太郎
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黒い夏

黒い夏
黒い夏
ジャック・ケッチャム, 金子 浩

ジャック・ケッチャム『黒い夏』読了。暗闇に延々とつばを吐き続けているかのような読後感。
中盤から終盤にかけて物語が一気に加速する様は、物語の重要人物レイ・パイがドラッグをキメつつ、過激な行動に走っていく様子と同様、実はケッチャム自身もドラッグをキメ、夢心地になりながら、この残酷物語を書き綴ってんじゃねえの!?と思わせるほどのイカれた疾走感を維持し続けていた。僕はジャック・ケッチャム作品、邦訳されているものは全作読んでいるのだが、しかしなんなんだろうか・・・彼の全作品すべてに底流する、この不穏な空気と独特な匂いは?
もし、過って食べてしまったら死に至ってしまうもの(例えば毒キノコとか?)の匂いのような・・・。(えてして、毒のある生き物や生物は獲物をおびきよせるために、獲物の気に入るような匂いを発したりするもの。)そんな、生命の存在さえ揺さぶるような、ひどく危険な匂いが彼の小説にはある。
僕はそんな甘い(危険な)匂いを感じるからこそ、陰惨な描写が延々続く中でもひたすらページを捲ることが止められないのかもしれない。
しかし、ジャック・ケッチャムの小説は甘い匂いを楽しむ程度で、けっして咀嚼してはいけない。彼の描く救いようのない物語の唯一の救いは、フィクションであるという事実ひとつだけでしかない。(ケッチャム作品は実際に起こった事件をもとに書いている小説がほとんどだったりするのだが・・・現実とは真に恐ろしい・・・。) 
もしも、彼の小説にのめり込みすぎ、現実とフィクションの境界が朧げになりつつあるのなら、今すぐ本を捨て、その存在を忘れてしまったほうがいい。もし、それができなければ、そこにあるのはジャック・ケッチャムの描くような凄惨な死姿であることは間違いないだろう。

 
★ちなみに『黒い夏』のカバーフォトはmatthew hollerbushってひとの作品 
matthew hollerbushのHP↓ 
http://www.hollerbush.com/

僕はジャック・ケッチャム(扶桑社ミステリー文庫)シリーズの装丁に使われている写真がどれも好き。(全作品違う人が撮っているのだが、ジャック・ケッチャムシリーズとして統一感があってカッコよいなあ!)
 
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地図にない町

地図にない町―ディック幻想短編集
地図にない町―ディック幻想短編集
フィリップ K.ディック, 仁賀 克雄

『地図にない町』を読了。
映画『ブレードランナー』の原作小説『アンドロイドは電気羊の夢をみるか?』で有名なフィリップ・キンドレッド・ディックの初期短編集。好きなのは表題作である『地図にない町』と『あてのない船』という話。『地図にない町』は脳内麻薬物質ドーパミン大量噴出の不条理白昼夢。『ねじ式』小説版って感じで、郷愁と不可思議感がないまぜになったストーリー展開が実に好み。この世界観は映像化したらかなりおもしろいような気がする。『あてのない船』は変人扱いされながらも仕事そっちのけで、何かに憑かれたように巨大な船を家のガレージ横で作り続ける男の話。他にもSFあり、世にも奇妙な物語風あり、トワイライト・ゾーン風あり、星新一風ありと物語が多彩でなかなかおもしろい短編集だった。
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泣かない女はいない

泣かない女はいない
泣かない女はいない
長嶋 有

長嶋有さんの『泣かない女はいない』を読了。
このタイトルは、この小説にでてくる人物、樋川さんがボブ・マーリーの『No woman no cry』を無理やり訳した時のセリフ。
長嶋有さんの小説は好きで全部読んでいるのだが、今回のもよかったな。彼の小説は事件らしい事件が、全くといっていいほど起こらない。日常の些細な事柄に対する登場人物の機微が、時に切なく、時に滑稽に淡々と綴られてゆく。重い小説か、軽い小説か、どちらかと言えば軽い小説。リズムよくスラッと読めてしまうのがいい。けれど、スラッと読めてしまうわりに読後感は不思議と重い。
なんだろう?言葉にするのは難しいが、読み終わったあとに心に何かが引っ掛かる感覚がある。切ないというほど切ないものではなく、悲しいというほど悲しいものでもない。けれど確かに心臓の端っこのあたりがチクリと疼く。長嶋有さんの小説を読み終わるといつも僕はそんな感覚におそわれる。それは、生きるということの何かに、微かに触れたような気がするからかもしれない。切ないというほど切ないものでもなく、悲しいというほど悲しいものでもなく、苦しいというほど苦しくもなく、楽しいというほど楽しくもなく、何かを期待するほど何かが起こるわけでもなく、コマ切れすることなく続いてゆく毎日。そんな、さして何も起こらない在り来たりな日常を、その日常の微かな変化を、長嶋有さんは巧みに描いてみせる。そこがなんとも言えずよい。

http://www.n-yu.com/

世界は目まぐるしく動いているというのに、日本に住む僕達の日常は呆れ返るほど何も起こらない。けれど世界を目まぐるしく動かしているのが僕達自身であることも、僕達はなんとなくではあるが自覚している。何処に向かっているのか、行く先さえ掴めない今にも崩れ落ちそうな脆い世界。そんな世界に住む僕らの日常の呆れ返るほどの平穏。僕達は砂のお城の上に腰掛けていることすら、気付かないまま年をかさねてゆくのかも知れない。ほんとうのところ、一番滑稽なのが僕達自身であることにすら気付かないままに・・・。
  
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逆転世界

逆転世界
逆転世界
クリストファー プリースト, Christopher Priest, 安田 均

『奇術師』・『魔法』の著者クリストファー・プリーストの『逆転世界』を読了。素晴らしい。読み終わったあと、この現実と呼ばれている世界もほんとに存在しているのかわかったものではないな・・・。と人間の知覚、認識について深く考えさせられた。これだけの異質な世界を構築し、描写するプリーストの筆力にただただ脱帽。
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クリストファー・プリースト/魔法

魔法
魔法
クリストファー・プリースト, 古沢 嘉通

今朝は酔っ払いに小便をかけられそうになる夢を見る。「俺はあんたの便器かいっ!」とツッコミを入れたところで目が覚める。外はあいにくの曇り空。夕方からは雨。もしや、今朝見た酔っ払い小便の夢が今日の雨模様を大胆予言?などと、つまらない事を考えているうちに一日が終わる。なにはともわれ晴耕雨読。クリストファー・プリーストの小説『魔法』(早川文庫)を読み進む。僕は『奇術師』を読んで以来彼のファン。素晴らしい。『奇術師』は映画化が進められていて、ジュード・ロウとガイ・ピアースが主役を張る。(監督は『メメント』のクリストファー・ノーラン!)日本では2006年に公開予定だとか。かなり楽しみ。しかし『魔法』は訳がうまい。『奇術師』と同じ人(古沢嘉通氏)が訳してるんだが、実に読みやすい。やはり外国文学ものは、翻訳する人がうまくないとダメだな。たまに何書いているのか、さっぱり理解できないのとかあるもの。日本語なのに日本語っぽくない文章のオンパレードってやつ。でも、そんな文章に訳せるってのは、ある意味、天才的なことなのかもしれない・・・。 
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春、バ−ニ−ズで スペシャリストの帽子 チェ・ゲバラの遥かな旅

今回は最近読んだ本の感想です。

★『春、バ−ニ−ズで』 吉田修一著
吉田修一さんの最新作。前作、『ランドマーク』同様、何かが起こりそうで、なかなか起きようとしない日常を描くのがこの人はほんとにうまい。(しかし、微妙な変化が確実に起こっている事を読者は胸の何処かで、かすかにだが感じ取ることができるはず。)あいかわらず文章のリズムがよくスラスラ読めてしまうのもいい。最近、コンスタントに小説を発表しているのもスゴイと思う。希薄な人間関係でありながら、どこかで人とつながっていたいと強く願う人の多い、”いま”という時代を巧みに描ききる吉田修一の手腕はあいかわらず確かだ。

★『スペシャリストの帽子』 ケリ−・リンク著
世界幻想文学大賞を受賞した『スペシャリストの帽子』を含む11篇を収めた短篇集。不思議な味わいの話が多数。頭で深く考えるよりも、心で感覚的に感じるべき小説だと思う。
タイトルにもなっている『スペシャリストの帽子』がやはり秀逸。読んでいると不思議でじんわりと、形容のしようのない恐さがにじみでてくる。他の話もどこかつかみどころがなくて、話の着地点が理解を超える不可思議さ。独特の世界観で、ハマる人はどっぷりハマる世界だと思う。中毒性かなり強し。解説は名訳者の柴田元幸先生が執筆している。

★『チェ・ゲバラの遥かな旅』 戸井十月著
名作映画『モ−タ−サイクル・ダイアリ−ズ』を見てから読んだので、実に読みやすくわかりやすかった。チェ・ゲバラという人物の生き方は凡人には決して真似できないすさまじさに満ちている。ゲバラは決断力、物事の一歩を踏み出す力が格段にずぬけた人だったんだなぁ。僕等が彼の事を決して真似できないのは、資本主義社会のぬるま湯の中で彼の顔のプリントの入った Tシャツをファッションとして、さもうれしそうに着たりするからなんだろう。僕は社会主義者ではないけれどもゲバラの生き方に敬意と、底知れぬカッコよさを感じる。ゲバラ自体、資本主義だとか社会主義だとかにとらわれず、もっと広い視野で世界を見ていたことがこの本を読めば良く解る。彼の死の瞬間をえがいたページはあまりにも悲しい。僕は、もっと若いうちからゲバラの事を良く知っていたらなあと思わずにはいられなかった。誰でも若いうちに彼の生きざまをよく知っておけば、人生の持つ意味がきっと変わるはずだ。 
 
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