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生の芸術 アール・ブリュット展

東京は銀座にあります、ハウス・オブ・シセイドウにて開催中、
『生の芸術 アール・ブリュット』展に神奈川滞在時に行っていたんですが、これは濃い〜展覧会でした。”生の芸術=アール・ブリュット”ってのは、画家のジャン・デユビュッフェが1945年に作り出した言葉でありまして、美術の歴史や流行に左右されず、世間の評価もおかまいなしに、自らの心奧に沸き起こる、衝動によって生み出される芸術及び、その作品を指す言葉です。アール・ブリュットと呼ばれる作品を創りあげる人々は、様々な事情により普通の教育を受けられなかった人や、貧困、おかしな妄想に取り付かれている電波系な人であったり、精神病を患っている人など、言わば、社会生活から逸脱したアウトサイダーなのですが、僕には、お金や、評価、名誉などに目もくれず、ただひたすら自分の欲望のまま、純粋にものを創り、自我を表現し続ける彼らのほうが、社会に適応して、ただなんとなく日々を過ごしている人々(我々?)よりも、よっぽど正常なのではないかと思ったりします。
『生の芸術 アール・ブリュット』展では、そういったアール・ブリュットの59作家、約80点の作品が展示されていました。(これだけの作品が見れて無料ってのはスゴいです!)
今回、僕がもっとも楽しみにしていたのは、ヘンリー・J.ダガーという人物の作品。ダガーはシカゴの病院で清掃人として働きながらも、夜になると自分の部屋に閉じこもり、誰にも知られず人知れず、7人の美少女姉妹ヴィヴィアン・ガールズがグランデリニアンという残虐な男達と壮絶な闘いを繰り広げる、架空の壮大な叙事詩『非現実の王国における、ヴィヴィアン・ガールズの物語、あるいはグランデニリアン大戦争、あるいは子供奴隷の反乱に起因するグランデコ対アビアニアン戦争』を一生をかけて書き続けていたのです。15,145ページにおよぶその物語には三百枚もの挿絵が描かれていました。ダガーさん…ヤバいです。超妄想人間です。ちなみに一生を通して性的な知識も経験もなかったダガーは、女の子と男の子の下半身の違いをつゆ知らず、挿絵に描かれたヴィヴィアン・ガールズ達には男性器がちょこんと悪意なく生えているのです。ダガーさん…ヤバいです。超妄想人間かつ…なんか…可愛そう…。そんなヘンリー・J.ダガーの挿絵が今回の展覧会で見れたわけで、僕的には超感動〜だった訳です。今までは本でしか見たことのなかった、妄想王国の一端は、水彩絵の具の鮮やかな色彩に彩られたガーリーなぬりえ万華鏡って感じで、ヘンリー・J.ダガーの心の深淵のほんの一部を覗けた気がしました。この挿絵に描かれているたくさんの少女達(ヴィヴィアン・ガールズ)はダガーさんが膨大な数集めていた少女写真や雑誌に載った少女達をカーボン紙で写しとったもの。…う〜ん超マニアックダガーさん!ヤバいっす!…ここまでやられるとヤバさ通り越して、なんか俺…感動っす。
ダガーの作品は彼の死後、ダガーの家主であったネイサン・ラーナー氏に発見され保存、世間に知られることとなったのですが、もしネイサン・ラーナー氏のような芸術に理解ある人物以外の人が発見していたなら、きっとダガーの頭の中に存在していた、壮大な世界は世間に知れ渡ることはなく破棄されていたと思われます。そう考えると、今も人知れず恐ろしいまでの妄想世界を芸術として昇華しつつも、世間に全く知れ渡ることなく隠者のように暮らしている真の芸術家が世界の何処かにいるのかも知れません…。

ヘンリー・ダーガー 非現実の王国で
ヘンリー・ダーガー 非現実の王国で
ジョン・M. マグレガー, John M. MacGregor, 小出 由紀子

『生の芸術 アール・ブリュット』展、ダガーの他にも、凄まじい自己世界を持った作品が目白押しでした。精神病院で描き続けたマルティン・ラミレスの鉛筆画。ビル・トレイラーのイラストレイター顔負けのキャラクターセンス。「画家になるだろう。」という神のお告げを聞き、レオナルド・ダ・ヴィンチの霊に導かれていると信じ込み、抽象的な細かい模様を緻密にシンメトリー(左右対称)にカンバスに描き込んだオーギュスタン・ルサージュなどなど。
どの絵も、人間の持つ何かを表現しなければならない、描かねばならないという原始的な欲求に突き動かされ描かれたものばかりで、ものスゴいパワーにあふれ、僕は軽い目眩のあとに奇妙な興奮を味わいました。なかでも、僕が今回の展覧会で一番気に入ったのは、オーギュスト・フォレスティエのオブジェ作品。木彫りの人形に、鉄、布、釘、ブリキ、羽等を貼付け、奇妙な動物の形にしているんですが、これが、かわいいような不気味なような、なんともいえない魅力的な形をしてるんです。『生の芸術 アール・ブリュット』展の作家説明の紙によると、彼が死ぬまで過ごした精神病院で、これらの作品を並べて販売していたらしいです。そのシュチュエーションもスゴいものがありますが、もし彼の作品がそんなふうに売られているのを目撃していたなら間違いなく買ってましたねえ、きっと!!

★オーギュスト・フォレスティエ(auguste forestier)の作品が見れるサイト(英語です。)↓
http://www.abcd-artbrut.org/article.php3?id_article=36

そうそう、ハウス・オブ・シセイドウの自動扉ってデカイっすね!…初めて訪れたんですが
自動扉を通るとき、微妙なセレヴ気分を味わいました。 

★『生の芸術 アール・ブリュット』展
■会場 HOUSE OF SHISEIDO(ハウス・オブ・シセイドウ)↓
http://www.shiseido.co.jp/house-of-shiseido/html/exhibition.htm
■展覧会期:2005年9月27日(火)〜2005年11月27日(日)
 毎週月曜休
■開館時間:11:00〜19:00(入館は18:30まで)
■入場料:無料



   
書いた人 a | comments(5) | trackbacks(5) |




コメント

TBありがとうございました。

作品もさることながら
自動ドアにもビックリさせられた展覧会でした。。。
Tak | 2005/11/02 7:31 AM

Takさん
コメント&TBどうもありがとうございます!
あの自動ドア、でかすぎっすよねえ。
まさかあのでかいガラスが扉だとは…。
しかし、素晴らしい展覧会でしたね!
A. | 2005/11/02 5:30 PM

はじめまして。
TBありがとうございました。
ゲルハルト・リヒターやマシュー・バーニーも行かれたのですね。私もとても興味があったのですが、金沢まで行けず・・・
おもしろそうな映画やアートが目白押しですので、時間を作って少しずつ足を運んでいます。
杉本博司でTBさせていただきました。


S | 2005/11/05 11:46 PM

勝手にTBさせていただきました。
本文とは関係ないですが、私もかつてヴンダーリッヒが好きで、2001年の平塚市美術館での展覧会行きました。
加えてジョナサン・バーンブルックは今でも好きです。彼がエディトリアル・デザインを手がけた『YOUNG BRITISH ART: The Saathi Decade』定価20,000円のところ友人に5,000円で売ってもらいました。青春の一ページです。
惜しむらくはCITIZEN「independent」のバーンブルック・モデル(デジタル表記がバーンブルック・フォント!)を買いそびれた事。悔やまれます。
krupa | 2005/11/20 11:36 AM

krupaさん
TB&濃い〜コメントありがとうございます!
アール・ブリュットと呼ばれる作品群の色彩感覚、画面構成そしてなにより、作品自体から立ち上ってくる狂気はすさまじいものがありましたね!

★2001年に平塚市美術館でヴンダーリッヒの展覧会やっていたんですか!ヴンダーリッヒの展覧会、近いうちにまた日本でみたいですねえ!

★ジョナサン・バーンブルックはフォント職人でありつつも、その文字を自らのグラフィックデザイン上に絵画的に配置する天才だと思います。かっこいいですよね。
A. | 2005/11/29 6:33 PM


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