Stephan Balkenhol
Stephan Balkenhol
国立国際美術館に『シュテファン・バルケンホール、木の彫刻とレリーフ』展を見に行った。バルケンホールはドイツの現代彫刻家。現代人(白いシャツに黒いスラックスをはいた何処にでもいそうなおじさん。このモデルはどうやら作家本人っぽい。)や、童話ブレーメンの音楽隊から抜け出て来たような動物達の彫刻や、巨大な大聖堂の彩色レリーフ作品(遠くから見ると絵に見える。近寄って見ると、版画のように板を彫り込み彩色しているのが分かる。版の凸凹感がなんともいえず良い!)などなど、約50点あまりの展示。
ところどころ木の削り痕を、さかむけのように残している荒削りな仕上げの木彫は、形が非常にユーモラスで、彫像それぞれにすっとぼけたオーラをかもしだし、じっと見ていると美術館にいるのになんとなく笑いが込み上げてくる。特に動物シリーズの黒いプードルの形はなんともかわいらしく(ちっちゃな子供が楽しげに作ったって感じ。)バルケンホールって子供がそのまま大人になっちゃったような人なんじゃないか?という思いが頭に浮かぶ。現代美術にありがちな小難しさがないのが見ていて実に心地よい。素朴で荒削りな作風は日本の円空仏を彷佛とさせ、さながら現代版ドイツの円空仏師の趣き。わざと荒削りなところを残しつつも、よく見ると細かいところはやたらと丁寧につくりこんでいて、芸が非常に細かい。一見、おおらかな作風ながら、実は以外と神経質に作り込んでいるあたり、まさにドイツ人気質の面目躍如。こういう細かいところにこだわりを持つ作品、僕は大好きであります。