地図にない町―ディック幻想短編集
フィリップ K.ディック, 仁賀 克雄
『地図にない町』を読了。
映画『ブレードランナー』の原作小説『アンドロイドは電気羊の夢をみるか?』で有名なフィリップ・キンドレッド・ディックの初期短編集。好きなのは表題作である『地図にない町』と『あてのない船』という話。『地図にない町』は脳内麻薬物質ドーパミン大量噴出の不条理白昼夢。『ねじ式』小説版って感じで、郷愁と不可思議感がないまぜになったストーリー展開が実に好み。この世界観は映像化したらかなりおもしろいような気がする。『あてのない船』は変人扱いされながらも仕事そっちのけで、何かに憑かれたように巨大な船を家のガレージ横で作り続ける男の話。他にもSFあり、世にも奇妙な物語風あり、トワイライト・ゾーン風あり、星新一風ありと物語が多彩でなかなかおもしろい短編集だった。